安寿の本棚

* Novel List BL小説

陵辱涙 猫科の愛玩動物 (完結)

BL小説   18禁   須藤安寿   *     
 1 眼光(まなざし) 
第一章 眼光(まなざし) 連れていかれるのが「かじろ」という男のところであることは、義也も理解していた。男たちが交わす会話の中で、その名が何度も繰り返されていたからだ。 この半月ばかりのあいだ義也の所有者だった男たち。彼らは繰り返し義也を殴り、蹴り、代わる代わる犯して、泣きわめきながら達するところをビデオに撮った。「気に入らないっすね。竿師風情が気取りやがって。何であんなヤツにウチの兄貴が腰を低く...

陵辱涙 猫科の愛玩動物 (完結)

 2 光もあらぬ
第二章 光もあらぬ 神代の表情に圧倒されて、義也は言葉を発する事もできなかった。石榴文様の布が張られた歪な椅子をじっと見下ろしていただけだ。 そこに座れと促されているわけではないのだろう。それが不気味だった。義也をその椅子の前に押しやったのは、ただその布のうんちくを語りたかったからだ。 神代にとっては義也に椅子を選ばせることも重要な性の行為のプロセスなのだろう。 だが……。(選べるわけ……ねえじゃん)...

罪の書 青の記憶を綴って

*   BL小説   18禁   須藤安寿  
 1 序章
 この書は、すべて暗号によって綴るつもりだ。 内容を読み解くのは容易ではあるまい。この暗号は私が(つまりザンクト・ホルストのヤン、または小さきジャンと呼ばれた暗号筆記係修道僧が)独自に考え、誰にも読み解く術を明かすことなく墓まで持って行くつもりのものだからだ。 罪に彩られた私の半生を綴るには、それがもっともふさわしいだろうと思える。 それでもこの書が失われることなく保管される限り(書物は時として、...

陵辱涙 猫科の愛玩動物 (完結)

 3 黙(もだ)せる顔の
第三章 黙(もだ)せる顔の 神代の手がゆっくりと脇腹を撫で下ろしていく。そのくすぐったさを、義也はぼんやりと感じ取っていた。まるで頭の中に白い靄が立ち込めたように、すべての出来事が遠く感じられている。 だがその指が、義也の着ている安っぽいハーフパンツにかけられたとき、びくり……と体が震えた。 そのハーフパンツはヤクザの事務所に連れて行かれたあとに与えられたものだった。さっき脱がされたシャツも同じだ。...

罪の書 青の記憶を綴って

 2 暗号筆記者
 午前二時、朝課の時間だった。 時を告げる鐘の音を聞いたような気がして、私は反射的に飛び起きていた。 土間に敷いた藁が背中をちくちくと刺している。その感触でアデルバーデンからザンクト・ホルスト修道院へ向かう旅の道中に、森に住む猟師の家の納屋に一夜の宿を借りたのだと、ようやく思い出す。 鐘の音など、聞こえていたはずはなかった。「感心だな。――若い修道士には、朝課は厄介な勤めだろうに……」 目覚めたばかり...
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